ある冬の思い出

皆さんはアゴが外れたことはありますか?俺はあります。あれは2年位前の今ごろの季節です。夜に高熱を出してゲーゲー吐きまくってたら口が開いたまま戻んなくなっちゃったんですよ。高熱と何度とない嘔吐で疲れきった体に鞭打って、なんとか元に戻そうと試みるのですが全然戻りません。仕方ないので寝てる親を起こしますがどうすりゃいいかなんて親にだって分かりません。そしたら何を思ったかお袋が近くの消防署に電話してなんかいい方法が無いか聞いてくれてるんですよ。その時俺は「アゴは消防署じゃねーだろ」と虚ろな意識の中で思ったとか思わなかったとか(お袋グッジョブ)。まあ、それはいいとしてやっぱり消防署に電話してもわかんなかったんだけど、救急車が待機している消防署だったので救急車で向かいに来て24時間やってる総合病院に連れて行ってくれたんです。感謝感謝ですよ。で、病院に着くと当直のお医者さんが出てきてくれたんですけど「アゴ外れちゃうほど吐いたの〜」って笑いながらあきれてました。どうやら、アゴが外れて運ばれてくる人も珍しいみたいでしばらく思案にふけっていたお医者さん、おもむろにベットへ寝てくださいとおっしゃいます。言われるがままにベットに寝そべります。するとお医者さんおもむろに両手の人差し指を俺の両奥歯に突っ込んでなんかグリングリンし始めるのですよ。俺はもう先生の指を唾液でベロンベロンにしながら「ウガガガガ〜」ってなってるしかない、それはもうみっともない感じでいろんな意味で泣けました。あの時の二人は場所が病院じゃなかったら、命を奪うものと奪われるものにしか見えなかったと思う。そんなこんなで数分後なんとかアゴは元の位置におさまり、ついでに点滴打ってもらってから帰宅。なんかほっと安心して布団に入った時に「ふぁ〜」とやらかした欠伸でまたアゴが外れました(号泣)。もう、舌噛んで死んでやろうかと思いましたよ。でも、アゴが外れて舌を噛むこともできないので、今度は父親に車でさっきの病院に連れて行ってもらいました。そりゃもう病院の人も生暖かい目で迎えてくれましたよ。